☆ある天文学者のお話☆
むか~し昔。
日本でいうと江戸時代のころじゃ。
フランスに、ジェローム・ラランドという天文学者がいらっしゃった。
地球から月までの距離を観測するチームに参加したり。
恒星の位置を記録するための観測を行なったり。
恒星を発見したり(1801年・ラランド21185)。
数々の功績により、パリ天文台長にまでなったお方であるよ。
1773年には「彗星と地球の衝突」という論文を発表なさっての。
*1789年に彗星が大接近☆
*地球が壊滅的ダメージを受けるかも。
*可能性は64,000分の1くらいかな。
世間は大騒ぎになったそうな。
なにやら明治43年のハレー彗星接近を思い出すのう。
ラランドさんもさぞ驚いたことであろうな。
可能性:たった64,000分の1
それでも人はパニックになるのであるよ。
さて、このラランドさん。
たいそうな猫好きであった。
猫を愛するあまり、星座まで作ってしまった。
★FELIS(フェリス)。
この言葉はラテン語で『猫』という意味である。
天の星をつないで描くは、箱座りする猫の姿。
ねこばか一代記。
猫の魔力は恐ろしいのう。
歴史に名を残す偉人ですら惑わせるのであるぞ。
残念ながら、今『ねこ座』は空にない。
1922年、国際天文学連合で星座の境界が話し合われてな。
ねこ座はうみへび座の一部になってしもうた。
仕方ないことではある。
いくらラランドさん提唱といえど
「猫が好きだから、星座作っちゃった」
そんなことが認められれば、宇宙が星座であふれてしまう。
しかし、猫好きたちよ。嘆くことはない。
いつの時代どの世界にも猫好きはいるのだ。
2018年。恒星の名称を決定する会議に於いて。
『ねこ座』を構成していた星の中で最も明るい星に
★フェリス(Felis)
という名がつけられた。
今も夜空には燦然と輝く猫がいるのだ。
(5等級だけど)。
☆ ☆ ☆
本日はバレンタインデー。
ねこ森町ではゴージャスな宴が開催されます。
※参照:ねこ森町のようす。
夕暮れ前。
猫たちは『ねこ座』に向かいます。
地上にバレンタインの贈り物を届けるためです。
お日さま成分たっぷりの、バラの花びら。
猫たちがお昼寝しながら熟成した逸品です。
持ちきれない分は『アルゴー座』に積みます。
『ふくろう座』に乗り込んだふくろうさんも一緒に。
夜中にみんなで空からこれをまくのです。
人間の世界が大変なことを猫たちは知っています。
せめて眠りの中で、ぽかぽかの夢を。
ほんの少しでも心が温かくなりますように。
――ねこ座より愛をこめて。
^・ω・^ うちの人間のバレンタイン。
*美しい星座の絵の出典は『ウラヌスの鏡』。
※こちら ➽ ねこ座 - ねこ座の概要 - Weblio辞書
*ふくろう座もアルゴー座も今はありません。