☆弟橘姫のおはなし☆
むか~し昔。弟橘媛(おとたちばなひめ)という方がおられた。
倭建命(やまとたけるのみこと)の最愛のお后さまだったお方じゃの。
美濃国の造(みやつこ)の娘に兄媛(えひめ)と弟媛(おとひめ)という方がいらっしゃるが、あの弟媛とは別人じゃ。
あのお二人は、もともと景行天皇に献上された乙女たちであった。
それを倭建命の兄君であった大碓命(おおうすのみこと)が惚れ込んで、横取りしたのであるよ。
天照大御神の御杖代(みつえしろ)、倭姫の巡幸に随行なされた方じゃった。
忍山宿禰のお住まいがあったところが、今の忍山神社。
弟橘媛は、ここでお生まれになった巫女姫さまなのじゃ。
倭建命の東国遠征に同行し、走水(はしりみず)の海で、
荒れ狂う浪の神を鎮めるため、海にお入りになったシーンは有名だのう。
さねさし 相武の小野に 燃ゆる火の 火中に立ちて 問ひし君はも。
*ざっくり訳:相模の小野で、炎に包まれたとき。あなたは燃えさかる火の中で私の名を呼んでくださいましたね。無事でいるかどうか、と。
海は凪ぎ、倭建命は、無事岸辺にたどり着いた。
しかし、長らくその場を離れることができなかったという。
*君(きみ)去らず伝説。
七日の後、倭建命のもとに弟橘媛の櫛が流れ着いたそうな。
櫛とは巫女が髪に挿すものであるよ。
媛の魂が愛しい人のもとに帰ってきたのであろうかなあ。
☆☆☆
というわけで、忍山神社へお参りに行ってきました。
境内への入り口は二つあります。
【南側にある鳥居】
【東側、新しい道路側にある鳥居】
小さいけれど、お掃除が行き届いてとても心地よいところです。
お参りするのは久しぶり。
以前、書籍を奉納しに参ったのですが、
優しい女性の宮司さん(だと思うのですが)は覚えていて下さいました。
ここには、遠方からもお参りにいらっしゃるそうです。
元伊勢を巡りながら、舞を奉納していらっしゃる舞人。
これから弟橘媛が登場する劇の公演をなさるという役者さん。
倭建命の足跡をたどって句を詠んでおられる俳人。
「みなさま、ご苦労なさって。本当にご立派」
お参りを終えて、宮司さんのお話をうかがっていたら、
ぽろぽろ涙がこぼれてきました。
自分がやらなきゃいけないこと。
したいことが分からなくなって。
毎日なにやってんだろうな、と思ったり。
とにかく、進む方角を見失っているような気する昨今。
励ましをいただきました。
そっとおみくじを引きましたら、
『末吉』。
悪くないです。
失物:努力して探せ。
神さま、よいオチをありがとうございます。
ご祭神、26柱。
きっと、みなさまの導きの神もいらっしゃると思います。
もしよろしければ、ぜひ一度お参りを。
《何回でも貼っちゃうよ☆奉納させて頂いた書籍》