四月朔日。
ふんわり桜色に染まった、ねこ森町。
夜も明けないうちから大変な騒ぎになっておりました。
ねこ森町には『さまよえる泉』があるという。
▇ さまよえる泉とは
*猫ベッドくらいの大きさ。
*肉球みたいな形。
*見た目は普通の水たまり。
*一カ所にとどまっていない。
*いつどこに現れるか分からない。
ねこ森町ですからね。
どんな現象が起こっても不思議ではありません。
けれど猫のは好奇心に満ちあふれた生き物です。
不思議があれば、追いかけずにはいられません。
ウワサを聞いた猫たちは、いつか、自分の目で、
「うろつき回る肉球型水たまりを見たい!」
と、うずうずしていたのでした。
そんなところに新情報が。
出現するだけではありません。
☆河原内で動き回る!
これはチャンスです。
限定された区画なら見つけやすそうです。
さらに出所不明の情報が追加されました。
★捕まえたら願い事がかなうらしい。
かなえられる願いはカリカリ3粒分まで。
よく分からない単位ですが、猫ですからね。
モノリスの河原は不気味な場所。
時空が歪んでいるとも言われます。
普段はあまり近づきたがらない猫たちですが、
お祭りテンションも手伝ってこう思いました。
『みんなで行けば怖くない』
猫の団体さんが、荒涼たる河原に大集合。
その中央には黒々とそびえ立つモノリス。
東雲のほのかな光の中、他者を近づけぬ威容を放ち…。
ねこねこ集団にドン引きしているように見えます。
誰も気にしちゃいませんが。
キラキラと輝く無数の目は、さながら地上の星。
手にカリカリ3粒を握りしめ、
(まだかな、まだかな)
泉が現れるのを、今や遅しと待ち構えておりました。
そこに響き渡る第一声。
「いたーーーー!!」
➽ to be continue
^・ω・^ サバはこれから出かけます。