椿の花開き、ふきのとうも食べ頃が終わりに近づいています。
住人のいない実家にも、春は忘れずに来てくれます。
そんなある日。
まだ作物の植え付けもされていない、すっぴんの畑に異変が起こりました。
\ 何ものかが畑を横切った形跡が /
ノラ猫でないことは確かです。
ダイちゃんにしろ、キジトラさんにしろ、足がこんな深く沈むはずがありません。
もっと重いモノです。
近寄ってみましょう。
安定した歩幅。ゆっくり歩いていたんですね。 足跡はチョキの形。
偶蹄類ですね。てことは…?
もしや、いいい、イノシシ?! ((((°△°;
山近くの畑には、よく出没すると聞いていましたが。
ついに、こんな村の端っこまで下りてきたんですか?
こわいこわい!
イノシシはイカン!! 追いかけられたら逃げ切れる自信はありません。
ぼーぜんと眺めていると、そこに運良く(先方にとっては運悪く)
お向かいにお住まいのリーダーさんが一仕事終えて帰っていらっしゃいました。
※本当の名称は『組長』。村落には5軒程度単位の隣組的な組織が存在します。
トラクターにご乗車のところ、わざわざお呼び止めして見てもらいました。
「これは鹿やな」
一発即答です。
足跡は一頭分。
畑の中をためらいもなく通り抜け、田んぼの方へ向かっているという。
鹿も農家にとっては害獣です。作物をやられます。
「ん?」
リーダーさんが何かに気づいたようです。
「ミカンが散らばっとるな…」
あ、すみません。
その犯人は私です \(°▽°;
木から落ちたミカンをばらまいておけば、鳥さんが食べるかなーと。
ついでに、地面にいるイモムシっぽいものも食べてくれるかなーと。
結局うちの畑に被害はありませんでした(当たり前)。
鹿は悠々と畑を素通りして、何もない田んぼに出て、山に帰ったようです。
被害が出ていたらこんな悠長なことは言ってられませんけど…。
夜かな? 明け方かな?
寝静まった村の中を、一頭の鹿が歩いているところを想像しました。
ゆっくりゆっくり。
それはまるで、村を守る神さまが鹿の姿を借りているようで。
とても幻想的な景色です。
願わくば、山に動物たちを養うだけの恵みがありますように。
人と野生の生き物たちが、お互いの生活を脅かすことなく、共存できますように。