むか~し昔。
私が小学生だったころのことです。
学校の図書館で、蔵書整理がありまして。
廃棄処分になる書籍を自由に持ち帰っていい、と言われました。
やっほーい(°▽° o
普段、書庫の奥深くに眠っていた本たちが外に出され、
陽の光にきらきらと輝いています。
まあ、きらきらしていたのはホコリなんですけどね。
古い本の中から私が選んだのは、「青い鳥」。
モーリス・メーテルリンクの作品です。
絵本じゃありません。
挿絵、ほぼなし。
わー、いっぱい読める(°▽° o
分厚いハードカバー。
赤い布で装丁されていたような記憶があります。
糊が劣化して剥がれかけていて、
油断するとページがバラバラになりそうな本でした。
家に帰り着くまで待ちきれず、
二宮金次郎状態で下校しました。
生まれて初めて『戯曲』を読んだ思い出です。
そう。
メーテルリンクの「青い鳥」は童話劇。
舞台で上演するためのもの。
物語形式で書かれた作品ではないのです。
さらにいえば
これ、子ども用じゃないな(°_°
童話ではありますが、子ども限定ではありません。
ーざっくり・内容紹介ー
クリスマスの前夜。
チルチル(兄)とミチル(妹)は妖女からの依頼を受けます。
*依頼内容:娘の病気を治すため、青い鳥を捕まえてきて欲しい。
二人が冒険の旅にでかけるにあたって、妖女は魔法のアイテムをくれます。
*アイテム:おでこにダイヤモンドのついた青い帽子。
*効果:ダイヤモンドを回すと、見えないものが見える。
チルチルがダイヤを回すとあら不思議。
醜いお婆ちゃんだった妖女が、絶世の美女に!
二人はそのアイテムを使って、人の目には見えない世界を旅します。
犬やパンとも会話をします。
何度か青い鳥を見かけるのですが、捕まえられません。
がっくりとして帰り、妖女(現実では隣家のお婆ちゃん)に報告します。
すると、どうしたことでしょう。
二人が家で飼っていた鳥が青くなっていたのです。
その鳥を渡すと、無事、娘さんの病気が治ったのでした。
・・・・・・・・・ ♪
と、まあ。
一般的なイメージとしては、こんなところでしょうか。
『幸せは身近なところにあるんだよ』。
ほっこりほっこり。
ところがですね、中身はそんな平和なものじゃないんですよ。
チルチルとミチル。
旅の間、周囲は敵だらけ。
動物も植物も、
「人間は敵!」
って、攻撃してくるんです。
精霊たちも出てくるんですけど、どうも立場はあいまい。
終始一貫してチルチルとミチルの味方なのは犬のチローだけ。
自然 VS 人間?(°_°
えーと、発表されたのがいつかというと…。
1908年、モスクワ芸術座で初演。
近代化がどんどん進んでいた時代です。
ありえる図式ですね。
人間をかばってズタボロになっていく犬が哀れで…。
さらに、この青い鳥。
最後、どっかに飛んでいってしまうのですよ。
ああ、幸せの青い鳥よどこに~ \(°△°;
幸せは掴んだと思ったらするりと逃げる?
いや。
手に入れたときは「幸せ」と感じたことも、
そばにあるのが当たり前になると「幸せ」じゃなくなる?
ともかく一筋縄ではいかない作品なのです。
いろいろ追究し始めると論文が1本できます。
メーテルリンクさんの遺言に、
「ドイツと日本にはこの作品の版権は渡してはならん」
というものがあります。
メーテルリンクさんはベルギー出身。
第二次世界大戦では、ドイツは敵。
同盟国の日本も敵国でしたから。
1969年には、劇団『四季』が上演してますけど。
メーテルリンクさんには申し訳ありませんが、
遺言があまり守られていなかったおかげで読むことができました。
私が読んだ本には、青い鳥が飛び去るシーンがあったような気がします。
このシーン、日本人の感性には合うんじゃないかな。
諸行無常ですし(ー_ー
そして今回、この記事を書きながら気づいたのですが。
頭の中で『くるみ割り人形』と混じっている(°_°;
もう一度読み返して、きっちり内容の区別をつけなくては。
またいつか、話題にするかもしれません。
ー余談ー
青い鳥は、アニメ化もされています。
夜の女王の声を、美輪明宏さんが担当していらっしゃいました。
男の人なのか女の人なのか分からず、混乱した遠い日。
*OP曲:『幸せのバビラトラリラ』
今も歌えます(°▽°;