昨年の夏、初めて御朱印帳なるものを手に入れました。
これがご縁というものか。
神社のご近所に出張とも呼べない小さな用事がありまして、
あまりにも気が進まなかったので、
『参拝のついでに用事を済ませるのだ』
と目的をすり替えました。
そこで、出会ったのです。
ああ、なんと愛らしいカメさんでしょう。
けなげにも、ご祭神の墓石をしょっていらっしゃる。
そんなに重いものを背負っているのに、日差しを浴びて微笑んでおられる。
写真を撮りたい! そして携帯の待ち受け画面にしたい!
勝手に境内の中を撮影するのは気が引けて、社務所に向かいました。
いきなり「カメさんの写真を撮ってもいいですか?」とは聞けず、
お守りなどを眺めながら、社務所の職員さんの様子を窺っておりました。
浅黄袴のおじいさんがお二人。
そういえば最近御朱印を集めるのが流行っているらしいなー。
と、軽い気持ちでいただくことにしました。
こちらでも御朱印をいただきたいと申し出ると、お一人が墨を磨り始めました。
そっから始めてくださるんですかい。
本格的です。
しかしこれは、こちらにとっても好都合。そっと話を切り出します。
「こちらのご祭神は何か亀と関わりがおありなのですか?」
すると、お一人がおっしゃるには
「あれは亀ではありません。ヒイキという神獣です」
え? ぽか~ん(°△°
ひいき…?
「誰かをえこひいきする、とかいうあの贔屓ですな」
初めて知りました。
『贔屓(ひいき)』という神獣は、龍の九番目のお子なのだそうです。
どう見ても姿はカメですが。
「贔屓さんは、ですな。
この荷をどこそこまで届けて欲しいと頼むと、
どんだけ重い荷でも確実に届けて下さるのです」
なんと!
「ただし、時間はかかりますけどな」
……でしょうね。
『贔屓の引き倒し』という言い回しはここから出てきたそうです。
あんまり贔屓さんが遅いので、手伝ってやろうとして引っ張ると…。
「贔屓さんはこけてしまいますな」
これは、これは…
かわいいっ!
贔屓さん、可愛すぎです!
お許しをいただいて撮影したのが、先ほどの写真です。
詳しいお話は、はしょります。知りたい方は、是非結城神社にご参拝ください。
あれから1年以上経過しましたが、
いただいた御朱印はまだ三つ。
神社やお寺にお参りに行っていない、というわけではなく、
お参りした寺社が、職員さんが常駐していないところばかりだったのです。
コンビニでも御朱印帳が販売されているこのご時世。
キティちゃん2種類、マイメロ2種類、キキララ1種類。
全5種類、各1800円。
一体誰が買うんだ、これ。
どういう層がターゲットなんだ。
で、御朱印帳が2冊になってしまったわけですが。
どうしましょう。
いつか全部埋まる日は来るのでしょうか。