今日は、昔の学校の話でもしようかのう。
江戸時代までさかのぼろう。
この国にはさまざまな教育の場があった。藩校、私塾、寺子屋。
庶民の子らが通っていたのは『寺子屋』。
『寺子屋』というのは上方での呼び名で、江戸では『筆学所』と呼ばれておった。
内容は初歩的な実学。いわゆる「読み・書き・そろばん」というやつじゃな。
子どもらは、働きながら、それぞれの生活に必要なことを学んでおった。
教育を受けるには、金が要る。
入学金や授業料に当たるものはどうなっておったのかというとな。
どの寺子屋も入門料や月謝の定めは特に無かったらしいのじゃよ。
師匠の裁量でかなり融通を利かせてもらえたらしい。
農村では金銭ではなく物納でもよかった。
それで貧しい家の子も通うことができたのじゃ。
そんな寺子屋が、幕末には全国に1万5千以上。
もしかすると2万近くはあったかもしれんというから驚くではないか。
今、日本の小学校が2万と少しじゃからの。ほとんど変わらん。
民の就学率も高かった。70~86%。
それが『識字率』やら『教育水準の高さ』とやらに直結しているかどうかは、いったんさておくぞ。
身分や性別、あるいは地域差というものが大きいからのう。
御維新の頃、西洋をお手本にして近代的な学校制度を取り入れた。
が、教育の素地はすでにあったわけだ。
入学式?
寺子屋にそんなものはないぞ。
通い始める年齢はばらばら。時期もばらばら。
『7~8歳から』というのが主流だったようじゃが、おとなになってから通い始める者もおったという。
『六十の手習い』という言葉もあるな。
本来、学問や習い事をするのに年齢制限などありはせん。
始めるべきと思ったときに始め、『ここまでだ』と思ったところでおしまいなのじゃ。
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明治5年。
フランスをお手本にして『学制』が発布され、
全国に大学校、中学校、小学校が設置されました。
さて、ここで質問。できたてほやほやの当時、
Q.学校の入学時期はいつだったでしょう。
ほうほう。
ヨーロッパを手本にしたのだから、9月である、と。
大学に限れば正解。
明治初めには「お雇い外国人」を多く招いておりました。
教員を受け入れるため、その人たちの都合を考慮して
欧米の制度に合わせたと言われています。
しかし、小学校はそうではなかったらしいのですよ。
なにせ土台が寺子屋だったのですから。
例えば、たまたま見つけた福岡県の資料によりますと。
【小倉県の場合】・・・・・・・・・・
*明治7年(1874)、毎月1日と5のつく日に入学できた。
*徐々に入学できる時期を限定。
*6ヶ月ごとに試験を受けて進級するという仕組みに合わせて、
入学時期を正月明け(春)と盆明け(秋)の2回に絞っていった。
*明治10年代に年1回に限定(=学年始めと同じ時期)。
*明治21年、4月始まりになった。
資料:『福岡市博物館』企画展示 №202学校
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ちなみに、文部省が4月始まりを明文化したのは
明治33年。
『小学校令の改正』によります。
2週間ほど前、こんな記事をかきました。
検索されてるなーと思ったら。
学生たちから声が上がってた☆(°▽°
理路整然とした提言。
賛成であれ、反対であれ、
それについて、感情的にならず冷静に意見を述べる。
素晴らしいです。
署名活動も始まっているそうですね。
さあ、どうする大人たち(°▽°
学校の始まりを4月から9月にずらす。
簡単にできるものじゃないでしょう。
政治家と官僚が本気になったらできると思いますけどね。
たぶん、現場は柔軟に対応すると思う。
壁はあるでしょう。
私が思いつくだけでも3つある。
▇ 壁・その1
『小学校の就学年齢基準日』をどうする?
実際、9月始まりの国ではどうなっているかな。
外務省の調査がありますね。
ちょっと覗いてみましょう。
学校制度が異なるので、卒業する年齢は横に置きます。
ー小学校1年生になるのは?ー
◇フランス◇
入学対象者:その年の12月31日までに満6歳になる者
各自の進歩の度合いによって飛び級や落第もあり得る。
◇イギリス◇
入学対象者:その学校年度に満6歳になる者。
※義務教育の開始は「5歳になる誕生日から」。
↓
※小学1年生が始まる前にレセプションという学年を設置。
9月の時点で4歳になる子がそこに入ります。
◇イタリア◇
入学対象者:その年の12月31日までに満6歳になる者。
※翌年の4月30日までに6歳に達する児童が
学校側と協議の上、前倒しで入学することができます。
例)2020年度の場合。
入学者:2020年12月30日までに満6歳になる者。
2021年4月30日までに満6歳になる者。
参考になるんだかならないんだか(°_°;
同じ9月始まりでも、国によってバラバラですねえ。
『留年』や『飛び級』があったり。
能力が高ければ、『前倒し入学』があったり。
▇ 壁・その2
『会計年度』とのズレをどうする?
大人の都合ですね。
よその国はどうなっているかな?
学校年度9月始まりの国の例を見てみましょう。
会計年度の始まりは?
◇フランス:1月
◇イギリス:4月
◇イタリア:1月
◇アメリカ:10月
みんなずれてるやん(°_°
うん。
問題ありませんね。
お手本がある。
クリアできますよ。
会計年度は無理に変える必要ナッシング。
▇ 壁・その3
すでに在籍している人たちへの学費は?
卒業が半年延びます。
その分、学費がかかります。
それについて、私は言いたい。
寺子屋を見習え\(°△°
政府がやりくりするのだ。
減額だ減額。
はい、クリア。
☆*☆*☆*☆*☆*
残ったのは『壁・その1』
さあ、どうしましょう。
以下は私の勝手な考えです。
ご容赦下さい。
日本で大人に『教育を受けさせる義務』が生じるのは、
子どもが満6歳になった翌日以降です。
というわけで、現在はこうなっております。
◇2020年度◇
小学校入学者:2013年4月2日 ~2014年4月1日生
これはもう、変えようがないですね。
では、2021年度以降を考えてみましょう。
◇2021年度
従来なら:2014年4月2日 ~ 2015年4月1日生
年末年始でき切り替える。
《案1:学年の人数を減らす方向で》
小学校入学者:2014年4月2日~2014年12月31日生
※1~3月生まれの子どもたちの入学が先送りに。
ダメか(°_°
《案2:学年の人数が増えますが》
小学校入学者:2014年4月2日~2015年12月31日生
※デメリット:子どもの年齢差開きすぎ。
最大約1年8ヶ月。
厳しいな(°_°;
入学時期に合わせる
《案3:これでどうでしょう》
小学校入学者:2014年4月2日~2015年8月31日生
※年齢差最大:約1年4ヶ月
ギリいけるかもしれない(°_°
2022年度からは、きっちり学校年度に合わせられますよ。
小学校入学者:2015年9月1日~2016年8月31日生
8月31日までに生まれた子どもたちの入学が早まります。
けれど、一度変わってしまえばきっと慣れますよ。
もう一度言います。
教育現場は、きっと対応できる。
無責任な言い方かもしれないけれど、
現場を離れて2年ちょい。
まだ記憶は新しいです。
学校の職員たちは、なんとかしてくれる。
チャイムが鳴って、児童生徒学生がやってくる。
その笑顔を見るためなら、やれる。
もし、やるならば
子どもたちの意見に耳を傾け、
そっと寄り添って不安をやわらげ、
きっちり制度を整える。
移行するにしろ、現行のままいくにしろ。
混乱したままではいけません。
さあ、今こそ
おとなの本気を見せるときです(°▽°