私は猫が大好きである。さまざまな気候風土とさまざまな時節に私がこの地球の両側で飼ってきたいろいろな猫について、一冊分厚い書物が書けるのではないか、と思っているほどだ。
「病理的なるもの」冒頭より
どなたの言葉かといいますと、小泉八雲。
パトリック・ラフカディオ・ハーン。
日本では怪談が有名ですね。
『雪女』、『耳なし芳一』。
中学英語の教科書には『MUJINA』が載っていましたっけ。
猫好き文豪は大勢いますが、小泉八雲もそのひとりです。
新聞記者、小説家、随筆家、英文学者、その他いろいろ。
博識で話し上手。しかも親しみやすいお人柄。
周囲の人々には
「へるんさん」「へるん先生」
と呼ばれて慕われていたそうです。
東京帝国大学での英文学の講義も大人気。
後任に決まった夏目漱石はプレッシャーで胃を痛めたとか。
小泉八雲の猫愛が語られているのはこの書物。
※商品リンクです。
骨董・怪談/河出書房新書
397ページもある、がっつりした書籍です。
この中で猫の記述はたった2ページ半しかありません。
しかしその愛がもう、熱いのなんの。
本を閉じる時にページの間からじゅっと湯気が出そうなほどです。
読後、私の頭に残ったのは『猫』と『アリの社会』の二本。
他の内容が吹っ飛びました(°_°;
飼い猫の玉さんについて小泉八雲=へるん先生は語ります。
玉というのは英語でJewelという意味である。(中略)玉という女の名前は日本で普通飼い猫につけられるからである。
( -`ω-) 玉は実際美しいけどね!
( -`ω-) 日本の普通の猫より優美だったね!
( -`ω-) 三毛猫はレアで縁起がよいのだ!
( -`ω-) 魔物だって追い払うというのだ!
( -`ω-) ものすごく優秀な母だったよ!
( -`ω-) 子猫のためにいろいろ狩ってきたよ!
( -`ω-) ヤツメウナギまで狩ってきたよ!
( -`ω-) 草履も狩ってきたけどね!
格調高い文章のすきまから覗くどや顔。
私は確信しましたね。
この愛は『猫好き』の範疇をはるかに超えています。
明らかに『猫ばか』です。
玉さんのためにいつも窓をひとつ開け放しておく。
玉さんと子猫が夜通し運動会をしても怒らない。
家の中が泥だらけになっても怒らない。
( -`ω-) ふふふ、しかたないのう。
そんな声が聞こえてきます。
玉さんは二度目の出産で子猫を失います。
喪失を抱いた玉さんが、へるん先生のそばで眠っています。
おててをもにもにしながら眠る玉さん。
やわらかなおててから爪が出ています。
その爪を「真珠のような」と先生は形容するのでした。
ところで冒頭に
「分厚い書物が書けるのではないか」
と書いてあるのですが。
へるん先生、その書物はどうなりましたか。
探しても見つからないのです。
***猫の爪***
うちの猫どもは外歩きをするため爪切りはしません。
自分でばりぼり研いで手入れをしております。
キジさんや。
爪を見せていただけませんかな。
^・_・^ つめ?
^ー_ー^ ほらよ。
たしかに。じっくり見ると美しい。
敷居が汚いのが残念。
日向ぼっこ中のサバさん。
爪を見せてくださいな。
^・ω・^ よいしょっと。
^・ω・^ こうかな?
キジの爪より使い込まれていますね。
真珠というよりムーンストーンかな。
身づくろい中のところ失礼しますよ。
クロさん、爪をみせてくれませんかな。
^ーωー^ いやぴょーん。
素直でない猫は、ひっくり返しの刑です。
そりゃ。
^ー_ー^ んもー。
^・ω・^ くわいだん。